わたしらしさ。


妹たちも携帯のことを知り
とりあえず父親に
バレないようにしようと
協力して生活をしていた

父親が帰ってきたら
小声で母親に伝え電話を切り
何もなかったかのように
みんなで

『おかえり』と言う


幸いなことに父親が鈍感で
何も気づかなかった


けれど母親の中でなにかが変わり
確実に父親と距離ができていた

いつも以上に会話も減り
険悪なムードが
毎日、毎晩、毎朝漂った




真実を知らない父親

毎日電話する母親

それを見る妹たち

すべてを知る自分




こんな生活が日常になり
怖かった

当たり前がこうも簡単に
変わっていくことが






< 10 / 14 >

この作品をシェア

pagetop