わたしらしさ。


11月下旬…
母親が携帯を二つもっていたから私は聞いてみた

「母さんそれ…どうしたの?」

『あぁこれ…新しい携帯』

「既にひとつあるじゃない」

『これじゃあ通話料が高いから』

「誰とそんなに電話するの…?」

母は仕事をしていない
だから通話をする相手は
友達か祖母達ぐらい
なら家の電話で済むはず
すると母は

『サイトの人と電話してるの』

「男…? 女…?」

『……………………男』


最初はわけがわからなかった
最近母親が妙に痩せて
若々しいと思っていたが
まさか…
恋して若返っていたなんて
衝撃すぎて本当に
思考がすべて停止された

顔に出ていたかはわからないけど
できるだけ平静を装って

「そっか♪パパにバレないように気をつけなよ」

そう伝えたことは覚えている


良くないことなのに
私は母親を否定することができなかった……

母のあんな輝いた笑顔をみたのは
本当に久しぶりだったから…





< 8 / 14 >

この作品をシェア

pagetop