地味めな小説家と派手なケータイ小説家
夕日に当たった川を思わせる金色の髪――
アーモンド型の綺麗で大きな目と、それを彩ると長いまつげ――
桜色で濡れた唇――
服は……服は……――
「……やっべ、わかんね。なんて服だ。あれ?」
綺麗にまとめようとして、失敗した
ため息をつく
(なんでもかんでも、小説っぽくしちまうのは職業病だよなぁ……)
とにかく、現実的に十分魅力な少女がキラッキラの携帯をいじっている
が、
周りに全く打ち解けていないのが見て取れた
気になって、焼酎を作り始めたうなぎさんの肩を指で叩く
「ん、どした?」
「あそこの娘、誰です? ここにいるって事は小説家なんですよね」
体で隠しつつ、俺は少女を指差す
うなぎさんは俺の肩から少女を覗き込んだ
「あぁ、お前『愛泪ーアイルイー』って知ってる? 映画にもなったやつ」
「まぁ。じゃあ、それの作者……………………」
数瞬、俺は固まる
そして
「ってケータイ小説!?」
身を乗り出し、うなぎさんに顔を間近に近づけ、小声で驚いてみせた――