合縁奇縁~それでも愛は勝つ


「天野さん、おはようございます」

「あ、おはようございます」


気負っているのはあたしだけで、努先生にとって、あたしは10名の園児の一人の母でしかないわけだけど。


「雄輝ちゃん、もうすっかりトイレ、自信がついたみたいですね」

「あ、はい。お陰さまで」

「ご自宅でも?」

「ええ、ただ寝る時は念のため、トレパンマンを履かせてます」

「そうですか。夜も徐々に自信がもてるようになると良いですね」


そんなトイレトレーニングの話題でも、彼の笑顔を見るだけで、あたしの心は跳ねた。

年甲斐もない。

自分でも自分に呆れる。

まあ、想うだけでどうなるわけでもない。

想う気持ちは自由だからね。

あたしは自分で自分を慰める。





そして、転機はある日突然訪れた。
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