合縁奇縁~それでも愛は勝つ
それは、雄太があたしと一緒に雄輝を迎えに来た、ある日のことだった。
「うわぁ、天野さんこの写真集、村井太一じゃないですか?」
雄輝が床に広げたあたしの荷物の中から、『子供達の戦記』を手に取り、努先生が声を上げた。
「ご存知、なんですか?」
「ご存知もなにも、僕はこの写真集を見て、保育士になろうって決めたんです」
「えっ?」
「戦争の中でも輝きを失わない子ども達、彼の目を通して見た子どもの素晴しさに感動しました。
僕は弱虫だから、彼のように戦場に出かけて行くことはできないけれど、この日本にも辛い境遇の中で頑張っている子ども達がいるはずだって。
大学院で幼児教育を学んで、教職の道を歩むつもりでいたんですが、一念発起して保育士になったんです」
「そ、そうなんですか」
突然の告白に、頷くことしかできなかった。