合縁奇縁~それでも愛は勝つ
「天野さん、おはようございます」
「おはようございます」
いつもと変わりなく交わされる挨拶。
彼にとっては日常。
でも、あたしの心はザワついていた。
努先生を太一と重ねて見ている自分に気付いてしまったのだ。
自分の好きなことにのめり込む姿。
屈託のない笑顔。
そんな彼を見ているだけで幸せだった、あのころの自分。
側にいるだけで満たされる想いと、満たされない想い。
それでも……
日々の生活に追われる喧騒の中、彼の存在が救いだった。