合縁奇縁~それでも愛は勝つ
「君の……
その不安定な状態を見て、彼は何かを感じているんだと思うな。
雄太くんは、ああ見えて、優しいから。
君は彼らを守っているつもりで、反対に守られてるってことじゃないのか?
忙しいのはわかるけど、少し時間を作って、彼とゆっくり話をした方が良い。
彼は、君が思っているより大人だよ、多分」
震えるあたしを見上げた坂本は、あたしの目を真っ直ぐ見据えてそう言った。
「僕にできることがあるなら、何でもするよ」
彼はどこまでも優しかった。
今までのあたしなら、そんな言葉、サラリと受け流してしまえたのだけれど。
耳についた、その優しい響きが、あたしの乾いた心に染み通った。
その言葉に縋りたい、手を伸ばせば届く、その優しさに包まれたい。
彼に愛を感じている訳ではないのに、そんな事を考える自分が卑しく惨めで。
余計に、気持ちが落ち込んだ。
自分の小ささが嫌になる。
あたしは強い自分を望んだ筈なのだ。
雄太を生んだその時も、雄輝を生んだその時も。