合縁奇縁~それでも愛は勝つ
「だいたい……
雄太の癖に生意気だよ。
母さんの人生は、自分で決める。
良い人見つかったら、誰が何と言おうと結婚するし。
まあ、その前に恋愛しないといけないけどね。
今、母さんはそれどころじゃない位忙しいの。
仕事と育児と家事。
そりゃあ、雄太も手伝ってくれるよ。
でも、雄輝はまだ小さいし、家には父さんがいないし、仕事は不規則だし。
ここのとこ、忙しすぎてちょっと参ってたっていうのもある。
雄太には心配かけたみたいだけど、母さんは大丈夫だから。
だから、雄太は雄太のこと考えて」
「チェッ……」
雄太はそう小さく舌打ちすると、あっさり、進路希望の欄を進学に書き換えた。
その字は、今まであった就職の字に比べると申し訳ないくらいに小さかったけど。
将来付きたい仕事の欄には、カメラマンと弁護士が並んで、やっぱり小さく書かれていたね。
雄太の気負いが無くなったことを確認し、あたしはホッと安堵した。
「母さん、飯」
そう呟いた横顔は、ほんの少し赤らんでいるように見えたんだ。