合縁奇縁~それでも愛は勝つ
「よっ、おかえり」
再会の日は、やっぱり突然にやってきた。
「帰るなら、帰るで、連絡くらいよこしてよ」
「なんだ、突然俺が現れたら困ることでもあるのかよ」
太一はちょっと不貞腐れて、それでもあたしと雄太をしっかりと抱きしめた。
真っ黒に日焼けした顔。
逞しい腕。
少しだけ埃臭い、太一の匂い。
「お風呂入る?」
「ああ……雄太、一緒に入るか?」
突然現れた、見知らぬ男の声かけにも、雄太は怖じけることなく頷いた。
だって、そっくりだもんね、雄太と太一。
言われなくても、子供ながらにわかってるんだと思う。
このおじさんが自分と血の繋がった誰か、であるってさ。
風呂場から聞こえる、楽しげな笑い声に、あたしは幸せを感じていたんだ。
たとえつかの間の幸せでも、太一が生きている限り、雄太がいる限り、この関係は少しづつでも紡がれていく。
そう納得することができたんだ。