合縁奇縁~それでも愛は勝つ
木村さんの悩みは、昨年生まれた長男大雅くんとの二重保育による生活リズムのズレ、だった。
なんでも、木村さんの会社では三歳までは社内保育室があるそうで。
大雅くんは十時―五時で社内保育に、祐樹ちゃんは七時―七時で南保育園に預けているのだそうだ。
朝は時差出勤の認められてる裕子さんが、裕樹ちゃんと大雅くんを時間差で連れて行き、帰りは同じ職場のご主人と相談で、残業の無い方が大雅くんを引き取り、少し遅れて退社する方が南保育園に迎えに寄る。
一見恵まれた環境のように見える、その時差、二時間の差が、就寝までの子供二人のリズムを途方もなく乱してしまうらしいのだ。
あたしは、雄太がもう大きいので、雄輝の世話も頼んだりすることもあるくらいで。
小さい子供二人を抱えて、子育てと仕事を両立させる、共働き家庭の大変さを人ごととして聞いていた。
みんな色々大変なんだなぁ~
あたしの呟きは、それなりの本音で。
自分の大変さは、口に出すことさえ憚れる。
木村さんのように、口にしてしまえば気が晴れるのだろうか?
あたしには、とてもそうとは思えなかったんだ。