合縁奇縁~それでも愛は勝つ


懇談会後、木村さんに声をかけられた。


「あの……、雄輝ちゃんのお母さんですよね?」

「あ、はい。天野美樹です。いつも雄輝がお世話になってます」


あたしは大きく頭を下げた。

顔を上げると、ちょっと戸惑う笑顔があった。


「女の子でユウキって珍しいじゃない?

それがクラスにもう一人いるって聞いて、驚いちゃった」

「うちの場合は、兄が雄太っていうんですけど、命名を彼に任せたら、自分の字を一つとって、雄輝って名づけたみたいなんです」

「ふぅ~ん、そうなんだぁ~

うちの場合は、わたしが裕子、主人が雅樹で、二人の字を一字づつとって名づけたの。

でも、兄妹が名付け親って、天野さん若いのに、そんな大きな息子さんがいるんだ、見えないね」

それは、褒め言葉を受け取って良いのだろうか、と少し戸惑った。

「ねぇ、これからわたし達、そこの公園で弟家族を交えてピクニック、って洒落込みなんだけど、良かったらご一緒しない?

食事の支度は、任せてあるから、多分食べきれないくらいあると思うし。

ねぇ、折角だし、そうしましょうよ!」

なんだか返事に詰まって考え込んでいると、

「いいじゃない、どうせお昼は食べるんだし」

手を引かれ、強引に保育園を出た。


「ほらほら、早く子供呼んで!」


まあ、保育園のお仲間だし、見え張っても仕方ない。

あたしは渋々携帯を開いた。
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