合縁奇縁~それでも愛は勝つ

あたしの不安を打ち消すように、裕子さんの家族は、皆、とても気持ちの良い人達だった。

ご主人の雅樹さんは、会社の重役で、裕子さんとは社内結婚。

その地位も何のその、子育ての一端をキチンと担い、とても素敵な父親の顔をしていた。


「僕が望んで、生まれた子だからね。

幸せも苦労も、共に味わいたい。

正直、裕子には僕以上の負担が掛かってるってわかるから、頭上がんないけどね」


弟夫婦の樹さんと舞子さんは、やっと歩き出した愛娘、愛理ちゃんを目の中に入れても痛くない程の可愛がりようで。


「親馬鹿だって、わかってるんだけど、止められない。

笑っていいよ。

そう言って、笑われたら笑われたで、また嬉しいんだ」

「樹のバカは死ななきゃ治んないから、ほっといて」

なんて、裕子さんに笑われてた。


そうこうしてるうちに雄輝を連れてやって来た雄太があたし達に合流して、食事会が始まった。

サンドウィッチにお結び、から揚げに、卵焼き、スティックサラダにお洒落なチーズ、ウサギに切ったリンゴやイチゴ。

所狭しと並べられたご馳走に、雄太が思わず生唾を飲み込んだ。

朝は寝坊して急いでたから、シリアルだけだったもん、お腹空いたよね。


子供達にはジュースが配られ、あたしの手元にはいつの間にかグラスが握らされていた。
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