合縁奇縁~それでも愛は勝つ
「美樹さんはワインでいい?」
「えっ? あ、はい」
思わず頷いていた。
すかさず注がれていく綺麗な赤い液体。
こんな優雅なシチュエーションで、屋外でワイン、なんて初めての経験かもしれない。
「じゃあ、新しい出会いを祝して、乾杯!!」
裕子さんの音頭で、みんながグラスを合わせた。
「さあさあ、遠慮しないで食べて食べて!
不味いとは言わせないわよ!
残したら、お仕置きだからねぇ~」
そんな掛け声をかけているのは舞子さん。
サンドイッチを一口かじってみたけど、とても上品な味がした。
チラリと雄太を見ると、口一杯に食べ物を頬張って、それは幸せそうな顔して笑っていた。
我が息子ながら、食べ物で釣られるとは情けない。
雄輝は先ず、ウサギリンゴに目がいったのか、両手にウサギを夫々持って食べてるし。
空を見上げると、雲ひとつ無い青空で、風に揺れた木の葉陰がグラスの赤を優しくくすぐった。
これが幸せ、っていうものなのかな。
そう思ったら、胸が熱くなった。
「美樹さん?」
どうやら、あたしは泣いていたようだ。