合縁奇縁~それでも愛は勝つ
気付いたあたしは、咄嗟に涙を拭った。
「このサンドウィッチ、とっても美味しいです。
こんなに沢山ご馳走、大変でしたよね」
ありきたりの社交辞令でお茶お濁そうと必死だった。
「あたし、ワインとかも良くわからなくて。
でも、このワインもとっても美味しいです」
「そう、良かった。
さぁ、子供はお腹一杯になったら遊んでおいでぇ~
樹、ほら、あんたは子守番。
川渡った向こうに、遊具もあるよ」
見ると、雄太は満腹になって草原に大の字になって寝転がっていた。
樹さんが、雄太に近寄って手を差し出す。
見ると雄太はその手を取って立ち上がった。
「母さん、俺も雄輝連れて遊びに行ってくる」
思いもよらない言葉を口にして、二人と二匹がその場から居なくなる。
あたしは、一人残され、グラスに残ったワインを飲み下した。