合縁奇縁~それでも愛は勝つ
「さあぁて、邪魔者は居なくなったことだし、美樹さんの悩み、拝聴しましょう」
「えっ、ええぇ~~」
残ったみんなが、あたしの周りを取り囲み、空いたグラスにワインが注がれた。
「自然と涙が出るくらい、溜まってるんでしょ。
大丈夫、ここにいるのはわたしの身内だけだし。
こんなところで秘密を漏らしても、どこにも広がらないから」
あたしは、注がれたワインをクイィ~っと飲み干すと、観念して口を開いた。
頬にあたる風が心地良い。
ワインも程よくまわって、緊張も解きほぐされていた。
「あたし、雄太を生んでからこれまで、こういう家族団らんみたいなレジャースポットは極力避けてきたんです。
だって……、あたしが覚悟して子供を一人で生んだわけで、人の幸せ羨むような、そんな惨めな気持ちになりたくなかったし。
それでも太一が生きてた頃は、それなりに充足感みたいなものがあって。
多分それは、いつか家族三人で暮らせる日が来る、っていう希望みたいなものだったのかも。
太一が死んで、太一の母親が雄太を引き取りたいと迫ってきて、あたしその時、本当の恐怖っていうものを感じたんです。
丁度それは、あたし自身の母親の死とも重なっていて。
世界中、こんなに沢山の人間の居る中で、雄太を失ったらあたしは本当に一人ぼっちになっちゃうんだなって。
そう考えただけで、恐怖で身がすくむ思いがしました。