合縁奇縁~それでも愛は勝つ
それからわたしの携帯には、裕子さんと舞子さんのプロフィールが加わった。
「残業とか、遅くなる時は遠慮なく言って。
お迎え引き受けるから。
うちはいつも二人体制だし、いざとなったら舞子もいるし、子守りなら樹もできるし」
そんな優しい言葉が身に染みる。
頼っていいのかな……
そんなあたしの不安をよそに、雄太はすっかり樹さんに懐いてしまったようだ。
残業で遅く帰った夜、家の中には二人の姿が見えなかった。
『樹さんちにいます 雄太』
なんて、書置きが机の上にあって、慌てて柏木家に電話をかけた。
「ああ、美樹さん。
雄太くんは樹と一緒に勉強してる。
うん、雄輝ちゃんは裕子のとこ。
うん、わかった、無理しないで用事済ませてからゆっくりでいいよ。
待ってるね」
雄太には内緒、ということで舞子さんが教えてくれた。
将来、お金の苦労をしないで暮らせるよう、母さんを楽にしてあげたい。
雄太がそんなことを言っていたと。
それを聞いた樹さんが、それなら先ず、お前がするべきことは勉強だろ、と諭したこと。