合縁奇縁~それでも愛は勝つ
そして夏が過ぎ、九月、保育園の運動会が近づいていた。
毎年園庭で繰り広げられるこの行事は、保育円の一大イベントで、どの家庭も楽しみにしている。
0歳児クラスの泣き比べや、1歳児クラスのハイハイ競争、2歳児クラスのお遊戯、3歳児クラスの徒競走、4歳児クラスの鉄棒、そしてラストは手に汗握る5歳児クラスの障害物競走だ。
どの家族も朝から応援席にレジャーシートを敷いて準備万端。
いつもは見れない、子供達の園での様子を一瞬たりとも見逃すまいとビデオカメラをセットし待ち構えている。
あたしは……というと、前日どうしても断れなかった残業がたたって寝坊した。
雄輝は、雄太に頼んで登園させたけど。
午前中で終わる保育園の運動会にお弁当は必要ないけど……
水筒に、レジャーシートなんてあったっけ?
髪振り乱してシャワーに駆け込むあたしを見て、雄太が呟いた。
「樹のおじさん達が、もう陣取って待ってるってさ」
「えっ?」
「全部準備万端だから、母さんは手ぶらでいいですって、書いてある。
運動会後、お弁当用意したから、また公園で食べましょう、ってさ」
雄太は自分の携帯をシゲシゲと眺め、嬉しそうに笑っていた。