合縁奇縁~それでも愛は勝つ
「ねえねえ、美樹さん、三歳児の徒競走って、今年は借り物競争なんでしょ?」
「えっ、そうなんですか?」
「裕子達が騒いでたから。
誰が一緒に走るかって」
「あたし最近忙しくて、お手紙とか、目を通していなくて……」
「あら、大丈夫よ。
裕子達が来たら、詳しく聞けば十分間に合うから。
だいたい、あの家族だって、あたしにお弁当一式作らせて、自分達は寝坊だって!
ホント、親の自覚ゼロだよ」
「あの……、あたしも、ごめんなさい……」
舞子さんの言葉は、あたしに向けられたものでは無いと、わかっていても何だか見に堪えてしまう。
「あら、美樹さんは良いのよ。
それにお弁当作りは、いわばわたしの趣味なの。
料理もやり始めると奥が深くて面白いわ。
子育てだけじゃ、時間、持て余しちゃうもの」
そう言って、舞子さんは楽しそうに笑った。