合縁奇縁~それでも愛は勝つ
身体の小さな雄輝の足は遅く、木にたどり着いた時にはもうあたし達を含め、三人しか残っていなかった。
あたしは、雄輝を肩に乗せ、必死に手を伸ばす我が子に声援を送った。
「ほら、がんばれ!
もうちょっとで届くよ~」
丁度、同じタイミングで紙に手が届いた隣りの裕樹ちゃんが、枝を少し下に押し下げた瞬間。
「とれたぁ!」
奇声を上げて、興奮する我が子を肩から抱き上げて降ろすと、一緒にその紙を覗き込んだ。
「つとむせんせい?」
その紙には確かにそう書いてあった。
「つとむせんせ~~」
興奮状態の雄輝は、大声でそう叫ぶと駆け出していった。
あたしも慌ててその後を追う。
偶然か、はたまた運命の悪戯か?
もう、何がなんだかわからなかった。