合縁奇縁~それでも愛は勝つ




運動会後の公園での昼食会の間、あたしはずっと上の空だった。




「天野さん、頭、凄いことになってますよ」

努先生に、指摘されて頭に手をやった。

多分雄輝がリクエストの木に手を伸ばすため、あたしの頭に摑まってグチャグチャにされたのだ。

あたしの髪は、癖毛の上に量が多い。

キチンと整えていれば目立たないが、風が強い日や、運動の後など目も当てられない状態になる。


「雄輝ちゃん、がんばってましたからね……」


そう言って、努先生はあたしの髪を手櫛で軽く整えてくれた。


「我武者羅な姿って、美しいです」


笑った笑顔に時めいた。
< 143 / 231 >

この作品をシェア

pagetop