合縁奇縁～それでも愛は勝つ

一度うっかり、

「そうだね」なんて相槌を打ったら、

「ママもそうおもう？

だったら、つとむせんせいにパパになってもらおうよ！」

なんて話になってしまった。


「雄輝、つとむ先生はお仕事忙しいから、雄輝のパパまでは無理だと思うな」


無理やり理由をつけて、雄輝を説得しようとしたけど。


「でも、ゆうき、いいこにするよ。

わがままいわない。

いそがしいときはしずかにしてる。

だから、ママもおねがいして！」


雄輝を宥めるのに、一苦労だった。

たぶん、未だに、納得はしてないと思うけど……


あたしのことを、いつの間にか『ママ』と呼ぶ雄輝は、『母さん』とあたしを呼ぶ大人びた雄太とはもう別の次元に生きている。

木村家や柏木家との交流が深まる中、雄輝の中で『パパとママ』は二つで一つの、眩しい幸せの象徴なのだ。


――雄輝、ごめんね……


パパの存在に憧れる雄輝を、あたしは複雑な思いで見つめていた。