合縁奇縁~それでも愛は勝つ
「じゃ、次は天野さん。
何か、ご家庭での悩みなんかありますか?」
一通りの年間行事説明と、四歳児の心と身体の発達についての話があったあと、恒例のお悩み相談の時間が巡ってきていた。
急に順番を振られて、あたしはつい本音が口に出る。
「はぁ……
うちは母子家庭なのですが、最近雄輝が父親の存在に憧れを持つようになって、ちょっと戸惑っています。
保育園でも、つとむ先生にべったりで、色々ご迷惑をおかけしてるんじゃないかと……」
「確かに、僕もちょっと気になっていました。
でも、迷惑、ということはありませんよ。
雄輝ちゃんの心の安定の為には、甘えさせて上げることも必要かと思います。
僕なんかで良ければ、いくらでも……」
彼の説明は、それなりに頭では納得できても、心がついていかなかった。