合縁奇縁~それでも愛は勝つ



「よっ、おかえり」



あの日も、仕事から帰った我が家に、当然のごとく太一はいた。


「ほんと、きっかり三年なんだね」


あたしは半ば呆れて呟いた。


「雄太が何て言ってるか知ってる?」

「三年寝太郎、だろ?」

「知ってるんだ……」

「嗚呼、さっき聞いた」

「で、三年の眠りから覚めた感想は?」


「そりゃぁ、美樹と雄太の元気な笑顔が見れて嬉しいさ」


しっかと抱きしめられて、あたしはもうそれ以上何も言えなくなってしまったね。

太一は日本に滞在する約一月の間、本当に楽しそうに笑って過ごしていた。


取り立てて特別なことは何も起こったりはしなかったけど、せっかくの春休だからと、数日あたしも休みをとって温泉旅行に出かけた。


親子水入らずの家族ごっこ。


たった二回ほどの旅行だったけど、雄太も嬉しそうだったなぁ~
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