合縁奇縁~それでも愛は勝つ




次の日のお迎え時、ぼんやり廊下から園庭で遊ぶ彼と子供達を眺めていた。




「天野さん、昨日は保護者会、お疲れさま」


そんなあたしに声を掛けてきたのは、桜木洋子、園長先生だった。


「こちらこそ、お忙しいのに、ありがとうございました」

「聞いたわ、雄輝ちゃんのこと。

でも、つとむ先生を責めないであげて。

彼には彼なりの思いがあって、そうしてるのだと思うから」


さすが、管理職、もう昨日の報告を受けているのだと思った。


「はい、昨日は少しあたしも感情的になってしまって。

あの……つとむ先生に、キチンと謝罪すべきでしょうか?」


あたしの縋るような問いに、目を伏せるようにして、彼女は静かに語り出した。

それは、あたしの問いに対する答えではなく、思いもよらない努先生の話だった。
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