合縁奇縁~それでも愛は勝つ
「雄太も、すっかり男の子らしくなったなぁ」
寝静まった、温泉宿の川の字に並べた布団の中で、太一は感慨深気に呟いた。
「横顔が太一にそっくりだよね」
「嗚呼、俺によく似てる。間違いなく俺の子だな」
「何言ってんのさ、今さら……」
「美樹には感謝してる。
太一を産んでくれて、ありがとう。
お前を突き放した俺を、こうして受け入れてくれてることも含めて、美樹には頭が上がらないな」
「太一……あたしは、いつだって太一のことを想ってる。
離れていたって、何処にいたって、太一は太一で、あたしの大切な人だよ」
「美樹……愛してる。
昔よりずっと、今の方がお前が愛しい……」
眠った雄太の横で、声を潜めて抱かれたあの夜が、太一との最後の夜だった。