合縁奇縁~それでも愛は勝つ
雄輝を連れてアパートに帰ると、雄太が既に帰宅していた。
「珍しいじゃん、こんなに早く帰ってくるなんて」
最近は、部活だ勉強だと、何やかやと理由をつけては帰りの遅い雄太だったのだ。
「だって、今日は坂本のおじさんが来る日だろ?
母さんも休みだし。
俺、雄輝見てるから、母さん買い物行ってきていいよ」
そう言って、あたしの腕から雄輝を抱き上げる姿は、もう子供じゃなかった。
――いつのまに、雄太も大きくなったなぁ~
感慨深く雄太の顔を見上げると、涙が溢れそうになった。
実は、雄太のことで会ってから、暫く気まずい気持ちでいたのだ。
すっかり忘れていたが、きちんと約束を守る弁護士という仕事柄、彼は月の最終月曜に必ず我が家を訪れる。
それは、もうここ何年も変わらない習慣なのだ。