合縁奇縁~それでも愛は勝つ
軽く繰り出されたジャブに、あたしは面食らった。
「へっ?」
あたしの呆けた返事に物ともせず、彼はその先を続けながら帰り支度を始めた。
「だって、休みなんでしょ。
子供達の居ないとこで、ゆっくり話したい件もあるし。
たまにはいいんじゃない?
こんな機会はまたとないでしょ。
運よく、明日は夕方までアポもないし、僕としても好都合。
美味しい店、予約しておくから。
十一時半に、事務所下の喫茶で待ってる」
あたしに有無を言わさず、彼は早々に帰って行った。