合縁奇縁~それでも愛は勝つ
本当に、彼の家は公園の直ぐ目の前だった。
「遠慮しないで、寛いでください、はい、これタオルとバスローブ」
玄関に立ち尽くすあたしに、彼はタオルとバスローブを手渡した。
あたしは黙って、タオルで濡れた身体を拭いた。
あたしの立っている位置は、それでなくても水溜りが出来るほど大きな水染みが出来ていて、申し訳なくて仕方ない。
こんな格好で、家に上がる訳にはいかないと思った。
「何してるんですか?
ほら、靴脱いで、バスローブ羽織って……」
彼はそう言うと、あたしにバスローブを羽織らせそのまま抱き上げた。
「な、なに……」
「水も滴るいい女、って……
冗談ですよ、バスルームまでお連れします」
「バスって、あたし、そんな、いいですっ」
「こんなびしょ濡れじゃ、僕が困りますよ。
兎に角、乾かしてもらわないと、ね」
――確かに、これじゃ、濡れ雑巾だ……
ここまで付いて来て、この状況で逃げる訳にもいかず、あたしは素直に彼の言葉に従った。