合縁奇縁~それでも愛は勝つ
中学三年ともなった雄太に、もう隠し事はできない。
心身共に成長した彼は、あたしに対する批判も意見も一人前だ。
いつもは大人しい雄太が、これ程までにあたしに向かってくるには、それなりの訳がある。
その納得できない気持ちも良く分かる。
だって、それはそのまま、自分自身に対するあたしの気持ちだったから。
「まさか、母さんが好きなのって努先生か?
雄輝に影響されて、なんてバカなことはないよな?
あいつって、まだ若くねぇ?
若いからいい、なんてこたぁないよな?」
「努先生はあんたの父さんに似てるんだ……
ひたむきな姿とか、天真爛漫な笑い顔とか……
見てるだけで幸せな気分になれる」
あたしの答えは、答えになっていなかったね。
それでも、それがあたしの素直な気持ちだったんだ。
「ばっかじゃね!
俺、雄輝を迎えに行ってくるわ」
そう吐き捨てるように、雄太はアパートを出て行った。
――やっぱり、あたしは母親失格だ……
そこには、母性より女をとったあたしがいた。