合縁奇縁~それでも愛は勝つ



「って、美樹さん、君って本当に強運の持ち主ですね」



そう言って、我が家の居間でお茶を啜っているのは、他ならぬ坂本弁護士。

月に一度の訪問日は、彼にとっては仕事の一部なので、私情を挟んだ事情では省かれることなどないのです。


「あたしもびっくりです。

って言っても、ちゃんと試験は受けるんですよ。

運よく、木村さんの会社の新しくできた部門で、貿易事務の求人があるって教えて貰っただけなので」


「でも、木村常務の口利きでしょ?」

「まあ、推薦はしてくれるみたいですけど」

「じゃぁ、もう決まったも同然じゃない!」

「って、そんな世の中甘くありませんって!

だから、あたしだって本腰入れて、有給とってまで勉強してるんじゃありませんか!」


「まあ、そういう生真面目なところも君の良いところではあるけどね」


坂本弁護士は、そう言って優しく笑った。
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