合縁奇縁~それでも愛は勝つ
試験は、一般教養と貿易事務の知識に関する筆記試験と役員面接。
試験会場には、この就職不況を反映してか、半端ない人数の志願者が集まっていた。
――一列八人で、ヒイフウミイヨ……
ざっと四十人弱。
この内、何人採用されるのか、多く見積もって三人としても、十倍以上の高倍率だ。
――坂本さん、やっぱり世間はそう甘くなさそうですよ……
あたしは、目を瞑り、子供達と努先生の顔を思い浮かべた。
「では、筆記試験を始めます。
氏名欄には、公平を期すため受験番号を記入してください。
実名を記入した方は失格と致します。
昼休憩を挟んで、午後一時、廊下に筆記試験合格者の受験番号を貼り出します。
合格者は、面接時間までこの会議室でお待ちください」
公平を期すとは、恐らく、縁故の口利きで採用試験を受けにきた者が多いということだろう。
面接試験まで進まなきゃ、折角の木村さんの推薦も意味をなさない。
――頑張らなきゃ!