合縁奇縁~それでも愛は勝つ
試験を終え、昼食を雄太と一緒に作ったお弁当を控え室として用意された部屋で食べた。
試験の結果が気になって落ち着かないあたしは、今更ながら実務の参考書を広げて、不確かな部分をチェックしていた。
今更、なんだけどね。
そう大きな間違いは無かったと納得し、食後のリンゴを口に入れた。
あとは結果を待つばかり。
遣る事はやった、と何だかすっかり気楽な気分になっていた。
「結果発表です」
採用担当の社員の方が、控え室に声をかけに来てくださった。
さてさて……、と、あたしは悠長にお弁当を綺麗に包み鞄にしまう。
緊張の解けたあたしは、周りを冷静に観察する余裕が出てきた。
廊下に貼り出された合格者の人数は十五名。
ほぼ1/3に絞られた勘定だ。
――あたしの番号は……
あ、あった!
ほっと胸を撫で下ろす。だが、本番はこれからだ。
会議室に集められた筆記試験合格者十五名の内訳は、男十名、女五名。
年齢的には、中途採用ということもあり、男性の年齢の方が若干高いように見受けられた。
リストラされた管理職?
即戦力で働くにしては、見た目五十台の男は扱いにくいだろうなと。
女性は概ね三十代。
派遣切りにあった専門職系な優秀な人材。身なりにも気を使い、気位も高そうに見えた。
即戦力としては申し分なさそうだけど、帰属意識に欠けるかなと。
で、このあたし。
二人の子持ちの未婚の母。性格はがっつりガテン系。世間の荒波に揉まれて腰も低い。
実務のブランクはあるけれど、雇って貰えたらなら、この会社に骨を埋める覚悟で頑張りますよ!
何せ、後がないもので。