合縁奇縁~それでも愛は勝つ
やっとあたしの順番が回ってきた。
面接最後、というこの位置が吉とでるか凶と出るか。
兎に角、全力を出し切るしかない!
「三十七番、天野美樹です!」
声を張り上げて、意気込んで踏み込んだあたしの目の前には、面接官五人。
その真ん中が木村さんだった。
人事課長と名乗る木村さん右隣りの男性と、志望動機と実務経験についての簡単なやり取りの後、一番左に座った年の頃三十台の男性があたしに向かって突然質問を浴びせかけてきた。
「天野さんは、この会社の『男前な女の地位向上を支援する会』についてご存知ですか?」
会社概要にも載っていなかった、意味不明な会の名を聞いて、あたしの頭は一瞬パニックに落ちいった。
「申し訳ありません、不勉強で存知ません……」
やっとのことで口にした言葉は、やはり勢い余った彼の言葉でかき消される。
「我が社は、社内保育室を設けたり、男性の育児休暇取得を推進したりなど、社内の男女共同参画を実現する為の施策を、この会を通じて実現させてきました。
もし、入社された暁には、この会に入会していただけますか?」
何を言われているのか訳が分からないというのが本音だった。
思いあぐねて、縋るような思いで木村さんに目を移すと、堪えきれない様子で笑っていた。
嗚呼……
これが例の裕子さんを第二子出産に踏み切らせた原動力か、と思至った。