合縁奇縁~それでも愛は勝つ
「良かったじゃないですか」
あたしの採用の知らせを聞いて、彼はサラリとそう言った。
「身の引き締まる思いだよ」
「って、美樹さんらしくないなぁ」
「そうかな?」
「木村さんも言ってたでしょ、自然体でって。
美樹さんは、そのままで十分我武者羅ですから、遣り過ぎは禁物ですよ」
子供の寝静まった、二人っきりの寝室で、
「そうだね、これでやっと自然体になれるのかも。
燃えるような恋じゃないけど、君とならずっと寄り添って行けそうな気がするし。
だって、見ているだけで幸せな気持ちになれるし……」
あたしが、そう呟いて彼を抱き締めれば。
「僕にとっては、燃えるような恋、なんだですけど……
って、美樹さん、もう寝かして下さいよ……」
彼が真剣な顔して、あたしに請う。
それでも、あたしは、彼を手放すことなんてできない。
だって……
消えることないこの愛を、この幸せをしっかりと抱きしめたくて……
我が闘争は、これからも続くだろう……
それでも……
限りある命、君と共に……
もう一人、子供がいても良いかな、なんて思える幸せを噛みしめて♪
<Fin>
2011.09.06.
加筆修正
2011.09.30.