合縁奇縁~それでも愛は勝つ

「領事館からやって来た事務官は、彼の両親に渡すと言い残し、遺灰を持ち去っていきました。

あらかたの遺品も持っていかれてしまった。

でも、僕は彼からあなた達親子の話を聞いていました。

入籍はしていないけれど、大切な家族だと。

彼は手元にいつもこの写真を置いて毎晩のように眺めていましたから……」


そう言って山村さんは、リュックの中から表紙のボロボロになった小さなアルバムを取り出した。



あたしは震える手で、その表紙を捲った。

一番最初のページには、もう十年前になるだろう、あたしが送った生まれたばかりの雄太を抱いたあたしの写真。

そして、三年毎に訪れたこのアパートでのあたしと雄太。

髪を拭いてもらってる風呂上りの雄太。

あ、これは入学式だ。雄太が誇らしげにランドセルをしょって校門の前に立っている。

やだ……

寝顔のあたし……

なにさ、こっそり、こんな写真撮って……

やだ……

前が見えない……
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