合縁奇縁~それでも愛は勝つ
「僕達戦場ジャーナリストはいつも死と背中合わせの生活を送っています。
実際、弾丸の飛び交う戦場に身を置くと、世の中のしがらみや地位とか名誉とか、そんな俗世の全てのものが無意味に思えてくる。
わかりますか?
村井君が毎晩この写真を見ながらあなた方のことを想っていたのは、彼にとってあなた方が本当に大切な家族だったから。
唯一、意味のあるものだったからです。
ここに、彼の遺書があります。
もし自分の身に何かが起こった時にのために、僕らは遺書をお互いに預けあっていました。
これを天野さん、あなたに渡すことが、今の僕にできる精一杯の彼への供養です」
そう言って、山村さんは一通の封筒を机の上に差し出した。