合縁奇縁~それでも愛は勝つ
同じ職場での、
それも上司と部下という立場での恋愛なんて、
あたしらしくない。
藤沢課長は大人だから、全く持って普通の顔をして働いていたけど。
そんな顔を見ると、むしょうに悲しくなった。
「天野君、このデータの集計処理、明日までによろしく」
そんな残業を示唆するような指示のある仕事には、必ずといって付箋で小さなメモがついていた。
<週末土曜十時>
雄太がいることを知っている課長は、夜の食事にあたしを誘うようなことはなかった。
その代わり、休日出社と家族に偽って、土曜一日我が家で過ごす日が増えていった。
あたしは、それを課長の優しさだと勘違いしていたんだ。
馬鹿だね。