合縁奇縁~それでも愛は勝つ




「産んでもいいかな?」




そうあたしが言った時の藤沢守の顔を、あたしは今でも思い出す。




「君は俺を破滅させる気か?」




彼は疑問形であたしにそう言い放つと、眉間に深い皺を寄せて真っ赤になって怒り出した。




初めて見た、余裕を失った彼の顔。




彼が失いたくないと思っているものの中に、あたしは含まれていないのだと悟った。
< 50 / 231 >

この作品をシェア

pagetop