合縁奇縁~それでも愛は勝つ



だが……

乳飲み子を抱えて、あたしは途方に暮れた。




実際、雄太の時は母が存命で、雄太の世話は母が殆どをあたしに代わってやってくれていたのだ。

生活の為とはいえ、あたしは全てを母に委ねて安心して働くことができた。

今更ながら、亡き母に感謝だ。

この中途半端な時期、無職のあたしに公立保育園の産休明け保育に順番が回ってくる筈もない。

聞けば、ゼロ歳から一歳児保育も倍率の高い、高嶺の花なのだそうだ。

教職員や公務員、医者や一流企業の一般職がその優先順位の上にいて、自由業や臨時職員、パート勤務のいわゆる弱者は限りなく入れる可能性が低いと聞いた。

だからみんな、無認可の託児所や無資格のベビーシッターに子供を預け、急場をしのいでいるんだって。
< 60 / 231 >

この作品をシェア

pagetop