合縁奇縁~それでも愛は勝つ
「兎に角、こういう無茶は、もう止めましょう」
「でも、働かないと食べていけませんよ」
「確かに、村井の残した著作の印税だけじゃ生活を支えるには足りないか……」
「そのお金には今、手を付けるつもりはありません。
それは将来、雄太にお金が必要になった時の為にとっておいてやりたいんです」
暫くそんな押し問答が続いたあと、坂本弁士は意を決したようにこう言った。
「じゃ、どうだろう、美樹さん僕の秘書をやりませんか?」
坂本さん、それは反則でしょ。
あたしは真面目な顔でそう言う坂本弁護士を、厳しい顔で睨み返していた。