合縁奇縁~それでも愛は勝つ
「有難いお申し出ですが、お受けする訳にはいきません。
太一に近しい人に、これ以上頼る訳にはいきません。
それに、昼間働くのは今のところ無理なので」
「じゃ、今、僕は君に何をしてあげられるんだろう?」
坂本弁護士の顔は明らかに困惑していた。
でも、ここは一歩だって譲れない。
「今あたしが欲しいのは、夜、安心して子供を預かってくれる場所です。
それも格安で。
少ないパートの給料から、託児料まで捻出するなんて無理なんです」
「そうか……わかった」
坂本弁護士は静かに頷いた。
「兎に角、預け先が決まるまでは、夜外出するのは控えた方がいい」
そして、厳しい面持ちでそう付け加えた。