合縁奇縁~それでも愛は勝つ
だけど、あたしの窮地を救ってくれたのは、坂本弁護士ではなくアパートの隣りに住む老夫婦だった。
「天野さん、あたし達でよけりゃ、夜お子さんを預かりますよ。
昼間の子供の相手はこの歳じゃ無理ですけどね。
寝てる子の世話くらい、側についていてやることくらいならできますからね」
警察から戻ったあたし達親子を、そう言って温かく迎えてくれたのだ。
聞けば、最初に子供の異変に気がついて警察に通報したのが彼らだったのだそうだ。
事情を聞いて、安易に通報したことを悔やんでいたのだと、あたしに正直に詫びてくれた。
涙が溢れて止まらなかった。
あたしは迷わず、彼らの手に縋ることにする。
いつかきっと、このご恩返しは致します。
心の中でそっと手を合わせた。