合縁奇縁~それでも愛は勝つ
程なくして、警察と警備会社の警備員がやって来た。
「いやいや、お手柄ですな。表彰もんですよ」
年配の駐在所詰めの警察官は、そんなことを呟きながら、捕らえた犯人に手錠をかけた。
「だが、一歩間違えばあなたの身に危険が及んだかもしれません。
以後、対応は慎重に願いますよ」
「はぁ……」
あたしはあたしなりに、自分の身を自分で守ったつもりでいたのだけれど。
大人しく犯人に従ったとして、果たして安全かと言えば、あながちそうとも言い切れない。
口封じの為に殺されたり、店ごと火をつけられたり……
最近は犯行の手口も残忍じゃない?
「いや、あなたの対応は迅速、的確で無駄がない。
失礼ですが、なにか武道の心得でも?」
そう聞いてきたのは、時々見かける警備員の一人だった。
「あ、いえ、学生時代に合気道を少々」
「成る程……」
彼はそう頷いた後、じっと黙っていた。