合縁奇縁~それでも愛は勝つ
「わざわざその為に帰国?」
「まぁ、それだけじゃないけど。それもある。
イラクの取材も一区切りついて、撮り貯めた写真を出版してみないかって話になってさ。
その準備もある」
「わ、太一、それ凄いじゃない! オメデトウ!」
「だから、一月ほど日本に滞在する。その間、ここに居ていいかな?」
あの時のあたしは、狐につままれたように只驚くばかりだったね。
太一があたしのことを忘れてしまった訳ではなく、こうしてまた戻ってきたくれたことに、僅かな希望を抱いてしまったのも確か。
でも、あいつは、雄太の認知の手続きだけ済ませると、一月後、あっさりとまた戦地へ戻っていった。
「じゃ、また三年後」
そんな意味不明な言葉を残して。