合縁奇縁~それでも愛は勝つ
あ、勿論、相談と言っても子供の教育のこととか、仕事のこととかに限定ですよ。
彼は一応社会的にはエリートと呼ばれる勝ち組に所属するわけですし、あたしとしても法律家としての彼からのアドバイスは貴重だと、素直に受け止めていたわけで。
でも、アドバイスはあくまでアドバイス。
実際にどうするかは、あたしが決めなくてはならないことですし、運も能力も努力も必要な訳で。
彼は彼なりに、親身になってあたし達家族のことを気遣ってはくれていましたが、あたしはやっぱり彼の後ろに太一の影が見えて、差し伸べられた手を取る気分にはなれなくて。
「村井が選んだだけのことはある」
終いには彼もそんな言葉を残して、口を噤(ツグ)んだのでした。