合縁奇縁~それでも愛は勝つ
「おはようございます!」
あたしは不安をかき消すように、大きな声で保育園の玄関に足を踏み入れた。
玄関脇の小部屋から出てきたのは歳の頃五十位の女性。
すっぴんにジャージ姿。
でも、そんな姿に違和感を感じさせるくらいの輝く笑顔。
「おはよう。元気がいいお母さんね」
「あの……
今日からお世話になります、天野雄輝です!」
「あぁ、天野さんね。お待ちしてました。
先ずはちょっとした手続きがあるからこちらへどうぞ」
招き入れられたのは、その小さな小部屋。
事務机が6つと、コピー機と、部屋の脇に四人掛けのテーブルが据えられていた。
「どうぞお座りになって」
あたしは促され、雄輝を背負ったまま椅子に座った。