合縁奇縁~それでも愛は勝つ
「先ずは、ようこそ南保育園へ。
私は園長の桜木洋子です。
子ども達には、園長先生って呼ばれてます」
「こちらこそ、宜しくお願いします。
わたしは雄輝の母の天野美樹です。
あの……家は母子家庭で……」
「ああぁ、そのことなら承知しておりますよ。
保育園というのはね、もともと福祉施設なの。母子家庭や共働き家庭の子どもを昼間、親御さんにかわって保育する。
この園にも、あなたと同じような境遇の方が沢山おられますよ。
そう言う意味でも、色々得られることが多いんじゃないかしら。
何でも不安に感じたり思ったことは口に出してみる事ね。きっと誰かが答えを見つけてくれる筈よ」
「わたしは両親ももう亡くなっていて、頼れる親族もいません。
今度、運よく正社員の職が見つかって、子育てしながらどうやって働こうか、ほんとに不安で……」
「大丈夫。あなたのお子さんは、わたし達が責任をもってお預かりします。
できるだけのサポートをしたいと思っていますよ。
一緒に頑張りましょう」
園長先生の力強い言葉に、いつの間にか涙が溢れていた。