合縁奇縁~それでも愛は勝つ
「い、いや……天野さん、僕もちょっと言いすぎました。
兎に角、お迎えに遅れる時は連絡を下さい。
無責任にお子さんを放り出すようなことはしませんから。
事情をお伺いした上で、対応を考えますので」
「は……い」
頷きながら、何故か涙が溢れた。
不甲斐ない母親だと思われただろうか?
駅から走り続けた汗が身体に纏わり付く。一日の疲れがどっと押し寄せてきて床にへたり込んだ。
「母さん……帰ろう」
雄太があたしの肩を叩く。
部屋の隅で怯えていた雄輝が寄って来た。
「かあたん」
あたしは雄輝を抱き寄せ、頬ずりをした。
「ごめんね、雄輝。ごめんね、雄太」
立ち止まる訳にはいかない。
あたしは立ち上がる。
「ありがとうございました」
あたしは雄輝を抱き上げ、保育園を後にした。