予定、未定。
出逢い
ジャポン…ッ
「…冷た…」
足を海に突っ込んだ途端、言葉が漏れた。
ザバザバと海を掻き分け進んでいく。
辺りは夕闇。
海は夕陽を映している。
ユラユラと揺れる波は淡く光を反射し、優しげに見えた。
海水浴場としてそこそこ有名なこの浜辺も、こんな時間帯だからか、人影は無い。
…まぁ、今から泳ごうなんて馬鹿、いないか。
ここまで日が沈めば暗くなるのは、あっという間だ。
夜の海は冷たいし、周りが見えないから危険だし。
溺れても助けを呼ぼうとしても、ここらに住居はない。
大体それは自殺行為に近い。
この町に住んでさほど月日は経ってないが、それぐらいは分かるようになった。
――だったら今お前がやってる事は何なんだ、と聞かれると、
…困る。
俺はただ、この冷たさに惹かれただけで。
別に、死のう、とかじゃ……――
海が、体温を奪っていく。
何時の間にか、水面は俺の腰元までに来ていた。
感覚がなくなると共に、思考も鈍っていった。
何が何だか、マトモに考えられなくなる。
…足は、止まらない。