in the dark†短編†

裏切

――あの日。

「ねえ、ミツキ。サチ今日なんで来れないの?」

夏休み最後の日曜日。

グループのみんなでカラオケに行く約束を、サチだけがすっぽかした。

サッカー部で夏休みも忙しい先輩と、デート出来るチャンスはその日しかなくて、

「上手く誤魔化して」と、私はサチに泣き付かれていた。

「…さあ、家の用事だって言ってたけど」

待ち合わせのオープンカフェ。

大きな緑色のパラソルの下。

私たちは、丸いテーブルを囲んでいた。

リカがアイスコーヒーのストローから口を離し、「ふうーん」と不機嫌そうに呟く。

私はびくびくして、顔を伏せながら、上目使いにリカの様子を伺った。
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